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**かくれんぼ**(6)
「あれは……すまない。わたしが悪かった。君がわたしのことをどう思っているのか知りたかったんだ。君を試すようなことをしてしまった」
試す?
想像していなかった展開だ。ローランド様の言葉が理解出来ず、口をあんぐり開けている中、彼はにっこり微笑んだ。
「君に先を越されてしまったけれど、今夜はわたしがリードしよう」
ええっ!?
「あの、それって、それって!!」
「夜を共にしよう」
力強い腕がぼくの体を包み込む。
ローランド様に抱きしめられ、身動きできずにいると、足下がこそばゆい。
見下ろせば、ナミが頬を擦り寄せていた。
彼女はぼくと遊んでいるつもりだったのかな?
それとも、恋のキューピットを担ってくれたのかな。
「にゃあ」
可愛い鳴き声聞こえる。
……フフ。可愛いから、どっちでもいいや。
見上げれば、真っ青な空が広がっている。
今日は、ジメジメしたこの季節には珍しい、すっきりとした五月晴れが広がっている。
これからも、ずっとこういう日が続くんだろうな。
**END**
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