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**玉かずら**(4)
もうダメだと観念した瞬間。玉蔓の黒曜石の目から、雫がこぼれた。
玉蔓は涙を浮かべ、素直に彼の胸に収まる。そうすることが当然のように思えてくるから不思議だ。
「――と言っても、もう楼主 とは身請け話を済ませてきた後なんだけれどね」
玉蔓に断りもなく、勝手に話をすすめたことを悪びれることなくそう口にする颯真の口元が弧を描いている。
その表情は茶目っ気に溢れている。
けれどその姿さえも絵になっていて、玉蔓の胸を焦がし、見惚れてしまう。
彼はずるい男だと玉蔓は思った。
ふと周囲を見ると、蛍の光が自分たちを祝福しているかのように包んでくれている。
颯真に身を委ねた玉蔓の紅色の唇には、ほんのりと笑みが浮かんでいた。
**終**
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