75 / 106
**恋愛びより。**(4)
――荘真さんは今、なんて言ったの?
『姉』『好意』様ざまな気になる単語が彼の口から一度に出てきて、何から尋ねれば良いのか、わからなくなった。
僕は何も言えず、そのまま穴があくほど荘真さんを見つめていると――。
「君のことが気になって、仕方がないんだ」
荘真さんは夕焼けと同じくらい赤い顔をしてそう言った。
まさか僕が彼女さんだと思っていた女性って、荘真さんのお姉さん?
荘真さんは僕のことを気にしてくれている?
そこでようやく荘真さんが話した内容を理解できた。
だけどなんて答えればいいの?
突然のことで頭が回らず、そのまま無言でいると、荘真さんの下がった眉尻がもっと下がった。
「すまない、不快にさせてしまった」
僕が拒絶をしたと思ったらしい荘真さんは、広い背中を見せ、僕から去っていく……。
待って、違う。
違うんだ!!
慌てて手を伸ばし、彼の腕を引っ掴んだ。
「僕も好きです!! ずっと好きでした!!」
思わず大きな声で思いの丈を伝える。
荘真さんは振り返り、細い目を見開いて僕を見下ろした。
「夢……じゃないよな」
そう言った荘真さんは目を細める。
薄い唇が孤を描き、僕が大好きな笑顔を見せたんだ――……。
*END*
ともだちにシェアしよう!