77 / 106
続**恋愛びより。**(2)
ガシシッ。
「先生は俺のお嫁さんだ」
僕の左腕が荘真さんに絡め取られた。
ちょっと待って! 僕、荘真さんのお嫁さんになるのっ!?
だから、いつからっ!?
僕の両腕は今、ふたりに掴まれている。
「おとうさん、パパからはなれて~」
「いやだね。ひまが離れなさい」
「やだ~。せんせは、ひまの~」
「先生は俺のお嫁さんだっ」
グイッ。
「へっ? うわっ!」
「わわわっ!!」
パフン。
どうしたものかとパニックになっている僕を余所に、右腕を掴んでいた荘真さんに引っ張られ、左腕にしがみついていたひまちゃんごと、荘真さんの腕の中に入ってしまった。
「はじめからこうすればよかった」
何事かと見上げると、彼はそう言ってにやりと笑う。
ひまちゃんは納得したのか、けたけたと可愛らしい笑い声をあげている。
僕も、ひまちゃんを包みながら、荘真さんの腕の中で、身を寄せた。
荘真さんとひまちゃんがいる生活はとても楽しいんだろうな。
この時、僕の頭ではたしかに、ひまちゃんと荘真さん、僕たち3人が楽しく暮らす日常が過ぎったんだ。
**END**
ともだちにシェアしよう!