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続**恋愛びより。**(2)

 ガシシッ。 「先生は俺のお嫁さんだ」  僕の左腕が荘真さんに絡め取られた。  ちょっと待って! 僕、荘真さんのお嫁さんになるのっ!?  だから、いつからっ!?  僕の両腕は今、ふたりに掴まれている。 「おとうさん、パパからはなれて~」 「いやだね。ひまが離れなさい」 「やだ~。せんせは、ひまの~」 「先生は俺のお嫁さんだっ」  グイッ。 「へっ? うわっ!」 「わわわっ!!」  パフン。  どうしたものかとパニックになっている僕を余所に、右腕を掴んでいた荘真さんに引っ張られ、左腕にしがみついていたひまちゃんごと、荘真さんの腕の中に入ってしまった。 「はじめからこうすればよかった」  何事かと見上げると、彼はそう言ってにやりと笑う。  ひまちゃんは納得したのか、けたけたと可愛らしい笑い声をあげている。  僕も、ひまちゃんを包みながら、荘真さんの腕の中で、身を寄せた。  荘真さんとひまちゃんがいる生活はとても楽しいんだろうな。  この時、僕の頭ではたしかに、ひまちゃんと荘真さん、僕たち3人が楽しく暮らす日常が過ぎったんだ。  **END**

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