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続**愛恋-airen-**なけなしの恋~不完全な彼(2)

「ふえっ……」  僕は家に帰るとすぐに自室に閉じこもり、ベッドに倒れ込む。  悠騎に振られたと女々しく泣きじゃくる。  悠騎には綺麗な恋人がいる。諦めなきゃ。  早く諦めてしまわなきゃ。  そう思うのに、どんなに諦めようとしても、やっぱり悠騎への恋を諦めきれない。  悠騎への想いが僕の中で大きく膨れ上がっていたんだ。  ――明日。  二番目でもいいから悠騎の傍にいたいと言いに行こう。  悠騎はきっと、いい加減にしろと怒るに違いない。もしかすると、恋人さんと一緒にいるかもしれない。  翌日、覚悟して悠騎の家に行くと、幸いにも彼は恋人さんと一緒じゃなかった。  お別れは嫌だと泣きじゃくる。  悠騎はきっとこんな僕に幻滅したんだと思う。男なのにウジウジして、面倒臭い奴だって――。  だけど彼の言葉は僕が予想していたものとは違っていたんだ。  彼はエナジーを吸うヴァンパイアらしい。無意識の状態で僕のエナジーを吸い取っていたんだとか――。  そうなんだ。  僕が頷けば、なぜそう簡単に自分の言うことを信じるのかと(たず)ねられた。  だってね、悠騎はとても日本人離れをした顔立ちをしているから、なんとなく心の奥底で感じ取っていたのかもしれない。悠騎がヴァンパイアだということをすんなり受け入れることができた。  それでも、彼が僕の体調に影響を及ぼしているということは考えられない。  たしかにね、最近目眩とかよくあるけれど、でも、それは悠騎と両想いになれて興奮して眠れなかったからだと思っていた。

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