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**もしもこの出会いが偶然ではなく必然であったならば**(4)

 すらりとしたモデルのような体型、整った双眸の彼――和真がいた。  研ぎ澄まされた鋭利な目が、男を射貫く。  男は和真に恐怖を感じたのか、すぐに去ってしまった。  残された理央は、ただただ突っ立っていた。  和真は先ほど、『俺の』とそう言った。けれど彼は数分前、自分には好きな人がいるとも言ったのだ。  理央はもう、いったい何が起きているのか理解できない。 「……逃げるなよな」  髪を掻き上げ、ぼそりと呟く和真の額からは、一筋の汗が流れている。  そうまでして自分を追いかけてきた理由がわからない。  鋭い目が、理央を捕らえ、離さない。 「あのな、そもそもただのセックスフレンドだったらここまで追いかけねぇし。……話は最後まで聞こうよ」  だって自分は振られた。聞ける筈がない。  逃げたいのに、彼の目から逃げることができない。 「お前は俺と付き合っているわけじゃねぇし。好きだとも言われたことねぇし。好きなのは俺ばっかりで、お前は誰とでも身体をひらくんだと思えば、焼きもち妬いちまうし! あ~っ、つまりだな。くったくのない笑顔を見せるお前に惚れたんだ。俺と、最初からやり直してほしい。ちゃんと恋人同士として……ってのは、やっぱり、ダメ? 都合良すぎるか?」  常にクールで表情ひとつ変えない彼の意外な一面。ポリポリと頬を掻き、不安そうに言う彼は本当に和真だろうか。  こんな彼の姿は今までに見たことがない。

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