13 / 106
**陰陽師は好敵手に牙を剥く**(5)
「俺としては、もう少し君と戯れたかったんだけれどね。あれは……」
「? あれ?」
『あれ』って、何のことだ?
隆晃の言葉を反芻 すると、隆晃はにっこり微笑んだ。
「帝は君をたいそう気に入っているからね、早めに手立てを講じなければならなかったんだよ」
「んなっ! 帝のことをそんなふうに言うなよ! 首が飛ぶぞ! というか、帝は俺をそういう目で見てねぇよ!」
特別な目で見ているのはお前だけだ!
「君は自分の価値を下げすぎだ」
隆晃は静かに首を振り、一呼吸置いてからまた口を開く。
「別に俺は命を失おうとも構わない。君を奪われるくらいなら安いものだ」
「俺は構う! そんな悲しいこと言うなっ!!」
俺が睨めば、ふたたびにっこり微笑まれた。
俺、ダメなんだって。その微笑みに弱いから!!
「っつ、うううううっ!!」
うっすらと笑みを浮かべている彼に雄を感じて胸が跳ねる。
……ううっ、どうしよう。
もう自分の気持ちを誤魔化せない!!
**END**
ともだちにシェアしよう!