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**YU-U-WA-KU**(2)

 同性でしかも年上の人に恋をしているなんて、自慢にもならないし、俺の恋心を知ったら、いくら温厚で優しい伸司さんでも気持ち悪がられることは間違いない。  この恋は所詮、実らない。  だけど人間って不思議なもので、叶わない恋だって思えば思うほど、燃え上がるし諦められなくなる。  おかげで俺は、気が付けば恋心を秘めて4年にもなる。  いい加減、新しい恋を見つけなきゃと思うのに、だけど俺の胸にはいつでも伸司さんが独占している。  ほんと、どうやったら諦められるのかな。  いっそのこと、伸司さんに好きな女性でも現れたらいいのに……。  なんて思っても、実際そうなったら俺はもの凄く打ちひしがれて泣き通しになるんだろうな。 「ふうん? あ、わりぃ。大学に忘れもんした。今から取りに行ってくるわ」  俺が伸司さんの恋に失恋した時のことを考えていると、宏一は突然腰を上げた。 「えっ? 今から?」  大学に忘れ物って。  宏一の家から大学までの距離は電車で一時間以上かかる。 「明日じゃだめなの?」 「うん、ダチに借りた漫画なんだよ。無くしたら殺される……ちょっと行ってくる」 「ちょっと!」  宏一は言うなり、俺の声を無視して上着を着るなり走って出て行ってしまった。  困ったのは俺だ。  だって夕方6時を過ぎた今、この家には俺の他に仕事から帰宅したばかりの伸司さんもいる。  突然2人きりとかにしないでほしい。  とはいうものの、今俺は宏一の部屋にいるから伸司さんとは顔を合わさなくて大丈夫なんだけど、いや、でも、心の準備が……。  落ち着け、俺。  バクバク言う胸を叩いて深呼吸すると、  コンコン。  部屋のドアをノックする音が聞こえた。  おかげでせっかく無理矢理沈めた俺の心臓は再び高鳴り、鼓動が速くなる。  コンコン。  もう一度ノックされて、俺は立ち上がるとぎこちなくドアを開けた。  すると案の定、ドアの前にはお盆を持った伸司さんがいた。  年齢なんて父さんと変わらないのにすらっとしていてこんなに格好いいってどうよ。  伸司さんに見惚れてしまう。 「あれ? 宏一は?」

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