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**虚偽**(5)
「間違えていません。今度は絶対、間違えていないはずです! だって、海也さんでしょう? 合ってますよね?」
「うそ……?」
だって、俺は、空也みたいに可愛くない。
「嘘じゃありません。たしかに、はじめは人違いだったかもしれませんが……。でもオレが本当に好きになったのは、貴方です」
真っ直ぐな視線で、彼はそう告げた。
緊張しているのだろう。俺を包む手が震えていることに気がついた。
本当に?
相太は、俺が好き?
間違いじゃない?
「嘘だって言っても、もう取り消せないからな……」
俺は、ぽつりと言い捨てると、相太の襟元を引っ掴んだ。
つま先立ちになり、薄い唇に自らの唇を押しつける。
相太は、俺の行動に驚いたのか、一瞬体を震わせた。
だけどそれもすぐに形勢は逆転し、俺からの口づけはすぐに相太のペースに変わった。
俺の背に、力強い腕が回る。
――相太、好き。
俺も相太の広い背中に腕を回し、もっと深い口づけを強請った。
**END**
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