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三章 優劣と陥落 3
鎖に繋がれたタクミの行動範囲は、必然的にベッドの上のみになっていた。宣言通り風呂やトイレの時は、一時的にベッドから解放されるも、鎖の端はマコトが握っていた。
嫌悪感から無意識のうちに歩みが遅れるタクミを、マコトは犬のように連れ回した。
そして弟の手によって身体を綺麗にされ、再びベッドに括り付けられる。それから毎晩のように犯されるのだ。
「分かる兄さん? 今、兄さんの中に俺が居るんだよ。俺たちは今、一つに繋がってるんだ」
「い……っ、だ、黙れ……っ」
「……口の悪さは生まれつきかな? そんな事言ってると、ほら」
マコトがタクミの首輪の鎖を、思い切り引き寄せる。タクミは四つん這いにされ、背後から挿入されていた。その状態で鎖を後ろに引かれると、当然首が絞まる。
「……あ……っ、かはっ!」
「あぁ……良く絞まるよ。気持ちいい」
マコトは窒息プレイにはまっていた。最初は抵抗するタクミに、罰を与える為の行動だった。しかし思いの外締まりが良く、自身が得る快感が増え、止められなくなっていたのだ。
何より兄の生殺与奪の権を握っていると思うと興奮した。
今まで兄弟間の優劣は、大人たちの評価でいうと、マコトの方が上だった。しかし、マコトはタクミを越えたことはないと思っている。兄は自分には無いものを、たくさん持っている。何があってもタクミは自分から手を出すことはなかった。
でも、今この瞬間、タクミはマコトに逆らうことが出来ない。後ろから突いてやると、タクミは良い声で喘いだ。本人は認めていないが、この数日のうちに兄の身体は、マコト好みに変化していた。口では嫌だと拒絶するが、後腔を穿つ度に、タクミの身体は陥落していく。
今は乳首の刺激だけでイケるように、調教している最中だ。マコトはタクミの胸に腕を回し、赤く勃ち上がったそこに爪を立てた。
「ひぁっ……い、あっ!」
「そういえば兄さん、半年前のこと覚えてる?」
「……っ、あ?」
「あ、でも先にイかせてね」
マコトはタクミを何度も突き上げた。腰を振るリズムに合わせて、首輪の鎖がジャラジャラと鳴る。
「出すよ」
「……っ!」
マコトが体内に白濁を出した衝撃で、タクミも射精してしまった。しかし今のマコトには、大した問題ではない。タクミの中から自身を抜き取ったマコトは、そのまま兄の身体を仰向けにし、胸の上に馬乗りになった。射精後のタクミはぐったりとしていて、マコトが何をしようとしているのか理解出来なかった。
「ごめんね兄さん。さっきの続きだけど、半年前に罰ゲームって称して三つの選択肢を出したこと覚えてる?」
答える気力もないタクミは、左右に首を振る。
「あの頃は、こんなに兄さんが淫らになるとは思わなかったよ。さて本題だけど、兄さんはその中の既に二つはクリアしてるんだ。分かる?」
タクミはまた首を振った。そもそも半年前の話すら曖昧である。それに、もし覚えていても、思い出したくない記憶であることは間違いない。
「俺とセックスして最後に中出しされる事、乳首だけでイく事。これはもうクリア済み。でも、まだやってない事があるんだ」
マコトは白濁で汚れた自身を手に取り、タクミの口元へ持っていく。行為の意味を悟ったタクミは、必死で口を閉じた。
「フェラはしたことないよね。俺は優しいから。でも俺のヤツ今汚れてるから、兄さんの口で綺麗にしてほしいな」
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