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四章 憎悪と破壊願望 7

 タクミは今のうちに少しでも楽な姿勢になろうと、仰向けの状態から横を向こうとした。だがそれは縛られた手首を、より一層締め付けるだけだ。タクミは両腕を上げた無防備な体勢から、動くことが出来なかった。 「お待たせ兄さん。良い子にしてた?」  数分後、マコトは手に何かを持って戻ってきた。きっとまたふざけたプレゼントだろうとタクミは思った。常につけられる首輪もそうだが、マコトは贈り物と称してタクミを痛めつける道具を持ってくる。じわじわと追いつめられている感覚だ。何かを贈られる度に「お前は俺のものだ」と吹き込まれているかのようにさえ思える。  マコトがベッドに座り、タクミを見下ろして笑った。 「でも、お仕置きはしなきゃ駄目だから。これは兄さんの為にやるんだよ」 「俺が何したっていうんだ」 「俺から逃げようとしたじゃないか」 「だからそれは!」 「もういい。黙って」  マコトはタクミの腰に馬乗りになり、着ているシャツのボタンを全て外して、凌辱された痕の残る肌を曝け出した。 「……っ、何する……」  何度も肌を合わせたというのに、タクミはまだ恥じらう素振りを見せる。マコトは赤く色がついた乳首を指でつまんだ。 「あ……っ」 「可愛い乳首」  コリコリと指の腹で転がしながらマコトは続ける。 「ここにピアス空けてもいいですか?」 「……え」

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