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一章 夢と現実 3
「罰ゲームだと……ふざけるのも大概にしろ」
タクミはマコトを睨みつける。弟のマコトが自分に対して邪な思いを抱いていることには気づいていた。昔は〝兄ちゃん〟と呼びながら後ろを追いかけてくる可愛い弟だったが、成長するにしたがって、その眼に潜む欲望が浮き彫りになってきたのだ。
「ふざけてなんかないさ。俺はいつだって真面目だし、何に対しても本気だ」
「早くほどけ」
「俺の問いに答えてないよ。今から罰ゲームをするから、ゲームの内容を決める権利を兄さんにあげようと思うんだけど、兄さんはどうしたい?」
「早くほどけって言ってるだろ!」
タクミはマコトの隙を突き、自由な右脚を振り上げた。タクミの膝がマコトの左脇腹に命中する。だがマコトは反対にその膝を折り曲げ、タクミの胸のほうに倒した。もともとの体格差と相まって、タクミはさらに不利な状況へと追いこまれた。
「じゃあ、話しを続けるよ。最後までちゃんと聞いてね」
マコトは何事もなかったかのように淡々と続けた。その視線は常にタクミを捉えて離さなかった。マコトはタクミの性器をゆるく扱きながら話を進めた。
「ここ、早く出しちゃいたいですよね。だから兄さん、あなたが選んでください。ひとつ、俺のものをあなたの口でイかせる。もちろん俺が出したものは、すべて飲んでもらいますよ。汚れたものは綺麗にしなきゃね」
正気か、とタクミは思った。感情が表に出ていたのか、それを見たマコトは嫌な笑いかたをして、二本目の指を立てた。
「ふたつ、あなたの後ろに俺のものを挿れてセックスする。安心してください。中に出しても、男のあなたなら何も問題ありません。後処理も全部俺がやります」
兄弟間で交わす会話ではない。タクミは自らの顔が赤くなるほど怒りを覚える。マコトの指は三本目を示した。
「そしてみっつめ、俺の前で女のように胸の刺激だけで射精してください。俺が責任をもってあなたを愛してあげますよ。今日はこのみっつの選択肢の中から、たったひとつを選べばいいんです。簡単でしょう。さあ、どうしますか?」
どれもしたくない。今すぐマコトを突き飛ばしてこの場所から逃げたい。タクミは本音を叫びたかったが、マコトは答えに窮しているタクミの姿すら楽しんでいるようだった。
「やっぱり選べないですよね。そうだろうと思ってました。まあ、いきなり兄さんがイけるとは考えられないので、今日は俺が手伝ってあげますよ」
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