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二章 優等生と脱落者 3
馴染みのバーでタクミはヤケ酒を飲んでいた。店内にはバーテンダーと自分しかいなかった。彼とは年も近く気軽に話せる仲だったが、今日だけはひとりにしてほしかった。彼もそれを察したようで、タクミに構う様子は見せなかった。
数時間前、大家から今月中にアパートを出るようにと言われた。半ば自暴自棄に陥っていたタクミは大人しく従った。どうせ理由を聞いても教えてくれないだろう。それでもすぐに追い出されることはなくて、大家のわずかばかりの優しさに、タクミは感謝した。
何杯目になるかわからないほど、タクミは飲んで酔っていた。アルコールの力を借りないとやっていられなかった。あまりにも自分が惨めで可哀想だった。ようやく睡魔がやってきた頃、悪いと思いながらもタクミはカウンターに突っ伏した。このまま寝かせてもらいたい。タクミは深い闇に誘われるように、静かに眠りについた。
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