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二章 優等生と脱落者 6

 まだ夢の中にいるのだ、とタクミは思った。両腕が上に引っ張られて、下肢に違和感を覚える例の悪夢だ。しかし悪夢は所詮悪夢でしかない。いつかは目覚めると信じてタクミはじっと耐えた。  結果的に悪夢は覚めたが、それは最悪の形でタクミの身に降りかかったのだ。  目蓋を開けた先にいた男。彼は半年ぶりに会うマコトだった。全裸で兄を組み敷く弟は、ひたすらにタクミの顔を撫で、その存在を懐かしむかのように何度も口づけた。 「ふ、ぅ……っ」  ひどく身体が重い。ただでさえ体格差で劣っている弟の凶行にタクミは抵抗できなかった。  半年前と同じく両腕は頭上で縛られて、ベッドに繋がれている。横たわる肢体はもちろん全裸だ。そればかりか両膝を立たされ、大きく左右に開いた状態でベッドに固定されている。  あまりにも哀れな自身の姿から目を背けると、許さないとばかりにマコトは口づけを深めた。味わいたくなかった感触が唇を覆う。マコトの手は下肢へと伸ばされ縮こまっているタクミの性器と弟の性器とを一緒に握り、互いを擦り合わせるように扱き始めた。 「嫌っ、嫌だ、嫌だっ……あっ、あ」  タクミの悲鳴を楽しむかのように、マコトの手はスピードを速めていく。 「ひゃ……っあ、あぁ……っ」 「おかえりなさい、兄さん」

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