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とろける

「ハァ……、あ……」 仄かな灯りに、艶かしい肢体が浮かび上がる。 汗を滲ませ、光沢を帯びた身体にはいやらしい白濁が飛び散り、つい先程までの情事を思い起こさせる。 自身からは未だに欲深なものがだらしなく溢れ、ぬらぬらと伝い落ちながら物欲しそうに下腹部を濡らし、咥え込んだ後孔は惜しむようにひくついている。 微かに身動げば、内部で解き放たれた欲望が混ざり合い、ぐちゅりと淫猥な音を立てて絡み付く。 彼の様子を窺えば、僅かな挙動でも快楽へとすり替えられていくようで、ぼんやりと遠くを見つめながら甘やかな吐息を漏らしている。 「喋れる? 真宮」 「ん……」 「あ~あ、やらしい顔して。よだれ垂らしちゃってだらしねえの」 指で口許を拭ってから頬を擦り、蕩けた眼差しを見下ろしながら微笑む。 汗ばんだ額へと貼り付いていた前髪を払い、口付けを落としてから表情を窺うと、相変わらず夢見心地な雰囲気を漂わせている。 「あ~、やべ。首に痕ついてる。これ怒られっかな」 ふと視線を向ければ、首筋にほんのりと鬱血があり、どうやらまたやってしまったらしい。 日頃からやめろと嫌がられているので、バレたら確実に文句を言われるだろうなあと思うも、実のところそんなに気にしていない。 患部を擦れば敏感に刺激を拾われ、眉根を寄せてからうっとりした吐息を漏らし、重ね合わせた手に呼応して指を辿らせる。 普段の凶暴さからは考えられないような健気さであり、何度目かの情事で流石に疲れはてたであろう身体をそろそろ解放してやろうかと、密接していた腰を引き離そうとする。 「あ……」 すると、一瞬さ迷っていた手に腕を掴まれ、訴えるような声に動きを止めて真宮を見つめる。 悦楽で涙ぐんだ視線と目が合い、何か言いたそうに唇を開かれるも、すぐには紡がれずにか弱い吐息だけが流れていく。 「なに、どうかした? なんか話してえの?」 穏やかに語り掛ければ、ぜんと名を紡がれてまた沈黙が走り抜け、首を傾げながらも腰を引こうとする。 そうして繋がり合いを絶とうとすれば、引き留めるように腕を掴まれていた手に力が入り、真宮が甘ったるい声を上げてねだってくる。 「あ……、い、くな……、まだ、もっと……」 誘う唇が唾液で糸を引き、思わぬ展開に少なからず動揺するも、今の彼に悟られる事はないであろう。 掴んで離さない手から熱情が伝わり、引き抜こうとしていたそれを再び押し進めれば、歓喜ともとれる嬌声が上がって濃密な空気が室内へと降り注いでいく。 「ハァ……、あれだけやって足りねえとかどういうこと?」 「はあ、あ、ぅ……、い、い……、それ、もっと、もっとして……」 「聞いてんの? 流石の俺でもやめてやろうかと思ったのに」 「あっ……! い……、きもちい……、そこ……、はぁ、あ……ぜん、それ好き……」 「ここ擦られんの大好きだもんねえ、真宮ちゃんは」 「んぅ、はぁっ、あ……、いい、あ、つい……、なかぁ」 奥へと捩じ込みながら、内部を行き来する度に真宮からは鼻にかかった声が上がり、幾度となく果てた自身からはとめどなく淫らな欲望が滴っている。 あちらこちらへ白濁を飛び散らせ、あられもない姿を晒して我が身を求め、やがて近付いていく絶頂に腰を揺らめかせる。 「はぁ、あっ、あぁ、でる、また……、ぜん、ぜんっ……」 「また出ちゃうの~? 真宮ちゃんのえっち」 「あ、う……、んんっ、あ、ああぁっ」 程なくして、達した彼から熱情を帯びた吐息が絶え間なく漏れ、力なく寝台へと沈み込む。 自身からはだらしなく白濁が垂れ流されていくばかりで、暫くは余韻から解き放たれそうにない。 ずっと腕を掴まれていて、無意識にだろう力を込めて爪を立てられていたので、ふと視線を向ければくっきりと痕になっているのが分かる。 だが怒ることもなく、何処となく嬉しそうな表情を滲ませつつ、惚けている彼の唇へ温もりを重ねる。 「どうする? おわりにする?」 「あ……、まだ、抜くのやめ……」 「おま……、ハァ? どんだけすけべなんだよ」 可愛いげのない台詞を吐きつつも、求められて嬉しい気持ちをごまかしながら再び覆い被さり、彼を満たすべくおねだりに応えていく。 何度目かの唇を触れ合わせた夜は、まだ当分明けそうにない。 【END】

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