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その眼差しは 3※
一方の尖りは、人差し指で弾いてからしっかりと摘まみ、上下へと乱雑に捏ねくり回す。
粗雑な扱いをされ、文句の一つも並べて当然のはずなのに、唇からは甘ったるい吐息ばかりが繰り返されている。
カリ、と爪で乳頭を引っ掻かれると、ただでさえ敏感な尖りがより熱を孕んで疼く。
髪を鷲掴んでいたはずの手は、いつしか力なく撫でるに留まっていて、指を動かす度に滑らかな質感が肌を通り過ぎていく。
「はぁ……、は」
「ねえ、今どんな顔してんの?」
顔を背けて、浅くか細い呼吸を繰り返していると、スプリングが徐 に軋みを上げる。
異変を察して視線を注げば、胸元から這い上がってきた漸に見下ろされており、相変わらず余裕を湛えた笑みが映り込んで面白くない。
「見んじゃねえ、バカ」
「汗掻いてる。暑い?」
「だからエアコン入れようとしただろうが。邪魔されたけどな」
「そうだっけ。暑いけど、何か気になんなくなってきた」
額に貼り付いていた髪を払い、頬を撫でながら顎へと伝い、唇に指を滑らせる。
好きにさせたまま見上げると、どことなく楽しそうな漸と目が合い、肌蹴た胸元が視界に入る。
ゆっくりと腕を伸ばせば、すぐにも彼の肩へと触れ、衣服に皺を刻みながら指を走らせていく。
そうして胸元に到達すると手を止め、指の腹を彷徨わせると程なくして感触に行き当たる。
「なに? やらしい触り方して。俺のおっぱいが恋しいわけ?」
「恋しくなるほど見たこともねえ」
「そんなに触りてえなら別にいいけど? 特別。ほら」
「なんかムカつくな……」
「あ、ボタン外してよ。あとは勝手にどうぞ」
手に手を重ねて胸元へと押しつけられたかと思えば、ボタンを外せと命じてくる。
何でそんな事しなきゃならねえんだ、とは思いながらもどうしてか手を働かせ、溜め息混じりに一つ一つ小振りなボタンを外していってしまう。
やがて露わになった肌は純白の磁器のようで、掌を重ねるとささやかな温もりが伝わり、仄かに汗ばんだ肌が吸い付いてくる。
遠慮がちに指を動かすと、薄く色付いた尖りに辿り着き、そろそろと乳房を撫でてみる。
「くすぐって。俺もっと乱暴にされんのが好きなんだけど」
ふ、と笑みを零しながら漸が腰を下ろすと、不意に腕を掴んで上体を引っ張り上げられる。
渋々身体を起こせば、向き合うように漸が膝の上へと座っており、愉快とばかりに視線を寄越している。
何を望まれているか察するも、彼は何も言わずに笑みを浮かべていて、どうやら何処にも逃げ道はないようだ。
別に今更何を躊躇う必要もない、と腹を括ってから小さく口を開けると、彼の胸元へと唇を押し当てる。
熱を孕んだ口内で舌を這わせると、密やかな感触が表面へとぶつかり、それを捉えながらちゅうと吸い上げる。
「なんか赤ちゃんみてえ。よしよし、おいしい?」
「テメ……」
「あん、噛まないで。敏感なんだから」
ふざけた漸の尖りに歯を立てると、艶っぽく喘いですぐさま反撃され、急激に萎えていく。
「テメエが変な声出すから萎えた……」
「は? 勃つとこだろうが。さぼってないでもっと真面目にご奉仕しろよ」
頭部を押し付けられたので、仕方なく舌を差し出しながら胸元に唾液を絡み付かせる。
いつの間にか髪を撫でられていて、緩く弄ばれる度に心地が良くて、妙な感覚が芽生えていく。
いつも彼の手がどう触れて、舌を絡み付かせて、口内に誘われていたかを思い出して、気を取られるように動作が緩慢になる。
それだけで身体が更なる劣情を纏い、熱に浮かされたように舌を辿らせていると、今や手付かずになっていた胸元に刺激を感じる。
視線を逸らせば尖りを弄る手が見えて、指の腹で擦られると愛撫が止まり、媚びるような吐息が唇から漏らされていく。
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