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Eremurus※

「くっ……、こんな、事してテメエただで済むと……」 「どうなっちゃうの? その前にお前がどうにかなっちゃいそうだけど」 「はぁっ、う……やめっ、離せって言って……」 手首を掴んでも、我が物顔の進行を阻めず、唇からは甘ったるい声が零れる。 時間も分からず、何処に居るのかさえ曖昧で、全てが彼の掌で翻弄されている。 迂闊な自分を呪っても解決は見込めず、汗ばむ身体へと指先が這い回り、首筋には口付けをされる。 唾液で濡れた舌先が絡み付き、わざとらしく音を立てながら丹念に舐められ、より過敏に反応を示していく。 吸い付かれた一点が熱を孕み、避けようと頭を動かしても無意味であり、執拗に愛撫は続けられている。 抗おうとしても、その手を掴んでいても何ら力が入らず、縋るようにただ添えるだけとなってしまう。 「はっ、しつけえんだよ、テメ、あっ……」 「今スゲエやらしい声出たね」 「ふざけんなテメ、とっとと離れろっ」 「いいの? 離れちゃっても。それとも何、一人でしてるところでも見せてくれるってわけ?」 「ンなわけねえだろ死ね!」 「酷いなあ、そんな事言うなんて。泣いちゃうよ、俺」 「知るかよ……! 大体テメエがそう簡単に傷付くタマかっ」 「まあね、よくお分かりで。つうかさァ、何なの? もう少し色っぽい声出してくれない? 照れてるのもいじらしいけどさァ」 「誰がそんなっ、く、触んなって言ってんだろ!」 「無理だろ。それにお前さ、こんなにしてるじゃん。言ってる事と随分差があるね」 流されるなんて絶対に嫌で、何とか脱しようと喚くものの好転せず、漸と言えば楽しそうに口を開いている。 軽快に会話が流れ、こんな事してる場合じゃないのにと焦れても、彼が引き下がってくれるはずもない。 自身へと差し伸べられている手が、ぬるりと先を弄んで否応なしに現実を見せ付け、叱咤しても身体が言う事を聞いてくれない。 頬が染まり、這いずる快楽を押し殺そうと呻き声が零れ、一点を見つめる視界には何の印象も残らず、とうにそれどころではない。 欲望が駆け上がり、先を擦られる度にいやらしいものが溢れ、敷布へと少しずつ染みを増やしていく。 おかしい、どうしてこんな事にと、同じような台詞ばかりが思考を巡り、そうして一つずつ消え失せる。 やんわりと握り込まれ、親指の腹で擦られながら白濁を溢し、くちゅくちゅと絡み付くような音が理性を追い詰めていく。 流されるな、やめろ、ふざけるなと胸中で叫んでも力無く、良いようにされてみっともない声ばかりを上げている。 「はぁっ、やめ……ぜ、ん……」 「気持ちいいんだろ。顔見たいな。えっちな顔してるんだろ……?」 「んっ、ちが……、気持ちわり……」 「嘘つき。こんなにやらしい声出しておいてそれはねえだろ。くちゅくちゅ言ってるの聞こえる? 溢れて止まんないね」 「あっ、はぁ……、ん、うっ……」 「腰引くなよ。なァ……、気持ちいい? お前がこんな事してるなんて、誰も思わないだろうね。こんなにやらしい事して悦んでるなんて、従順なお仲間達は思いもしないだろうなあ」 「はぁっ、は、テメッ……」 「現にお前は捩じ伏せられてるわけで、気持ち良くて仕方ないのに意地張らなきゃいけないなんて大変だね。俺とお前しかいないんだから、さっさと堕ちてこいよ。真宮……」 「あっ、気安く、よ、ぶなっ……あ、あぁっ」 ふ、と荒く息を吐きながら振り向こうとするも、自身を手荒に扱かれて嬌声が零れ落ち、咄嗟にやめさせようとしてもそれが出来たら苦労していない。 「あっ、さわ、な……よせっ、はぁ、あっ……ぜん……!」 「もっと呼んで。こういう時でもないと、お前なかなか照れて呼んでくれないもんな」 「ちがっ……、誰が、照れるか、あっ、や、め……あぁっ、も、はなせっ、ば、かっ……」 「いいよ、いっても。許してあげる」 「はぁ、あっ、い、やだ、お前、なんか、に……」 「もう限界だろ? 本当はいきたくて仕方ねえくせに。もっとえっちな事したくてたまらないくせに」 耳元で甘やかに囁かれ、ぺろりと唾液混じりの舌に舐められ、何処もかも熱を帯びて気が狂いそうだ。 耐えなければいけないなんて拷問で、それでもその手に堕ちてしまうなんて死ぬ程に嫌で、けれどもいつまで抗っていられるか自信が無いのも事実であった。 頭がぼんやりとして、無防備な首筋を吸われてひくりと身体が震え、熱を纏って快楽が渦巻いている。 カーテンの隙間から光が見え、自分は一体何をしているんだと思っても、唇からは余裕のない声がねだるように零れていく。 「はぁ、あ、あぁっ、やめ、はなせ、出るっ……」 「いきそうなの? いいよ。一杯出しちゃえば……?」 「あっ、やめ、い、やだっ……あっ、もう、はぁっ、う」 「あ~あ、またいかされちゃうんだ。いやいや言いながらも、結局は欲しくてたまらない。このまま一層後戻り出来なくなっちゃえよ。お前にはそれがお似合いだ。なァ、真宮……」 意地悪な言葉を刷り込まれても、最早自分ではどうする事も出来ずに掌握され、開きっぱなしの唇からは求めるような声ばかりが鼓膜を揺すっていく。 いやだと譫言のように繰り返し、弱々しく頭を振っても無力であり、彼の手によって死地へと追い詰められる。 昂りは増すばかりで、凶悪な熱情が今にもはち切れんばかりに此の身を苛み、先走りが自身を艶かしく濡らしている。 か細い呼吸がやけに響いて感じ、何を考える事も出来ずただ必死に、懸命に逃れようと手を重ねるも欲望は肥大し、しっかりと抱き込まれて離れられない。 言ってやりたい、殴ってやりたい、それなのに現状に甘んじていやらしい声を繰り返し、だらだらと白濁を吐き出している。 許せない相手に、憎い男に手綱を握られ、それでも身体は気持ちがいいと容易くひれ伏し、淫らな証を先から溢れさせている。 「あっ……ん、もう、で、る……、やめっ……」 「本当にやめられたら困るくせに」 「はぁ、うっ……ちが、ちが、うっ……おれはっ、あ、あぁっ」 「真宮……」 「あっ、呼ぶな……や、だ、あ、あ、あぁっ」 耳元で甘ったるく名を呼ばれ、目尻から涙が零れる程に感じ入り、抗いようのない熱が全てを浚っていく。

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