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Eremurus※

辿々しい手付きで、頬から耳に触れて髪を弄び、ぼんやりと青年を見つめる。 そうして引き寄せられるように顔を近付け、幾度となく触れ合わせた唇を重ね、自然と舌が絡み付く。 彼も応え、唾液を混ぜ合わせながら舌を押し付け、熱っぽく吐息が乱れる。 どうしてこのような事をしているのか分からず、それでもとうに止められず、何度も何度も離れては触れて悩ましい糸を引き合う。 情欲に支配され、ひたすらに目先の劣情を追い求め、躊躇いもせず自ら彼に触れていく。 「真宮……」 「んっ……」 「そんなに甘えてどうしたの。触りたいの……? 俺に」 「あっ……、耳、やめ……」 「なんで? こんなに気持ち良さそうにしてるのに」 名を呼ばれ、気が付いた頃には抱き寄せられており、背中へと静かに腕が回されている。 耳元で囁かれ、舌を這わされて過敏に反応を示してしまい、弱々しく訴えるも拍車がかかってしまう。 諭すように背中を撫でられ、首の後ろをやんわりと指先が滑っていき、未だ熱っぽく吐息が乱れている。 自然と腕を回し、彼へとしがみつきながらされるがままとなり、シャツを掴んで皺を刻ませていく。 声にすら感じ、もう自分にはどうする事も出来なくなっており、彼を受け入れて切なげな喘ぎを溢す。 「あっ……、なに、して……」 優しげな愛撫は続き、彼の掌が背筋を這い回っていき、ぞくぞくと甘やかな痺れが駆け上がっていく。 頬を染め、潤う瞳には熱情が宿り、はあと悩ましい吐息ばかりが零れている。 するすると感触が滑り落ち、やがて腰を撫でられたかと思えばとどまり、青年がまた何事か囁いてくる。 「まだ物足りない……?」 「そんな……こと」 「本当に……? もうしなくていいの? お前に我慢なんて出来るのかな」 「あっ、やめ、そこっ……」 「もっとくっついて、腰上げて」 「はぁ、あっ、もう、い……から、さわるの、あ、ぅっ」 「どうして……? また気持ち良くなっちゃうから? やらしい声一杯出ちゃう……?」 「あっ、あぁ、ちが、ちがうっ……もう、さわらなくてい、から、あぁっ」 「へェ……、何処が? お前が押し付けてきてるんだぜ? もっと滅茶苦茶にしてほしいって」 「ん、んぅっ……、はぁ、おれじゃな、あっ……、ちが、んっ、あ、あぁっ、やだ、や、あぁっ……、も、いやだ、あ、あぁっ」 逃れようとしても叶わず、達して間もない自身へと指を這わされ、過敏な先を擦られて腰が引ける。 思わず腕を掴み、やめさせようとするも無力であり、ひくついている其れを扱かれて白濁が零れていく。 最早言葉にならず、みっともなく嬌声を上げながら唾液を垂らし、彼にしがみついているしかない。 涙が溢れても拭えず、自身からも邪な汁が流れ落ちており、過度の刺激に晒されておかしくなってしまいそうであった。 「あ、あぁっ、や……もう、やめ、ぜ、ん……、はぁ、んっ……ぜんっ」 白濁を散らしたばかりだというのに、執拗な愛撫によって無理矢理に悦楽を呼び覚まされ、狂ったように欲深な蜜をだらしなく垂らし続けている。 ぐちぐちと擦られる度に聴覚を刺激され、凶悪とも呼べる快感に覆われて脱せず、彼へと縋り付く腕にも徐々に力が入る。 いやだと首を振っても聞く耳もたず、あられもなく声を上げては泣きじゃくり、欲に塗れた自身を一気に攻め立てられていく。 「はぁ、あ、あぁっ」 訳も分からず声を上げていると、自身へと与えられていた行為が止み、悟る頃には比較にならない程の熱量が内側を貫いてくる。 何が起こったか分からず、思いがけぬ衝撃に襲われて息が詰まり、暫くは動く事も出来ないでいた。 「く……、ん、んぅ」 深々と突き立てられ、僅かに身動ぐだけでも擦り付けてしまい、それだけでふしだらな声が溢れていく。 否が応でも存在を感じ、逃れたくてもとうに離れられず、今では漸へとしなだれかかっている。 どれだけ憎く、許し難い相手であるのかを分かっているはずなのに、気持ちとは裏腹に身体は求め、頼り無げに漸の肩へと腕を回してしまっている。 本当は嫌なのに、それなのに安らぎを得るかのように抱き付いてしまい、彼も拒まずに背を撫でている。 暫くは動かず、宥めるようにそっと名を呼ばれて戸惑い、掴んでいた衣服の皺が増していく。 抗えず、証拠として自身からは白濁が零れ、与えられる快感を覚えている。 力ずくで悦楽を呼び起こされ、先端から悩ましい糸を引きながら悶え、何度目かのはしたない熱をたっぷりと孕んでいる。 貫かれて気持ちがいいと、彼を感じられて心地が好いと身体が訴え、何にも答えられずに弱々しく首を振っては爪を立て、彼の肩へと顔をうずめる。 「あっ、はぁ、やめ、なか……なかが、あ、あぁっ」 腰へと滑り落ちていた手が尻臀に添えられ、ずるりと抜けていく熱が引き戻されたのを機に、揺さぶられて奥を貫いてくる。 耐え難い悦楽に襲い掛かられ、何度その名を呼んでも追い詰められていくばかりであり、問答無用で押し入られて先走りが零れる。 なけなしの力をも奪われていき、加えて自身へと再び触れられてたまらず、びくりとひくつきながらも淫らな蜜が止まらない。 視線を向けると、悦んで手淫を受け入れている自身が映り、見せ掛けだけでも止めようと腕を掴む事すらもう出来ないでいる。 穿たれる度に深々と貫かれ、快楽に浚われて欲が止めどなく溢れていき、だらしなく開いた唇からはねだるように甘やかな声ばかりが吐露されていく。 「はぁ、あっ……ん、んぅ」 「自分から腰揺らしちゃうくらい気持ちいいんだ」 「んっ、は……そんな、あ、あぁっ、お、まえがっ……」 「こんな状態にして、まだそういう事言うの……?」 「あっ、はぁ、やめ、さわるの……あ、あぁっ」 「いいんだろ……?」 「はぁ、あっ……良くな、い……あ、ああぁっ、も……もう、ぜんっ」 肩に手を添え、顔を上げて僅かに離れると、向かいには当たり前に漸が居る。 時おり見つめ、視線が交わる度に下腹部が疼き、むず痒い欲求が何処までも肥大していく。 殆ど条件反射で否定しても、欲深な身体はすっかり溺れて這い上がれず、彼の手によって散々なまでに追い上げられている。

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