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Eremurus※

どうしてこんな事をしているんだろう。 何度目かの問い掛け、繰り返されるばかりで答えは有らず、最早何の意味も成してはいない。 身体は熱く、玉のような汗を額に滲ませ、乱れた前髪が貼り付いている。 眉根を寄せ、容赦無く泣かされた目元には赤みが差しており、未だに涙が溢れては頬を伝っている。 唇を閉ざせず、掠れた声には抗えぬ快感が絡み付き、息は荒く熱情を纏う。 こんな事を許してはいけないのに、そんな事分かっているはずなのに、いつの間にか目先の青年を頼らざるを得なくなっている。 「熱い……?」 「んっ……、あ、触るな……」 「今更何言ってんの。こんなに咥え込んで離さねえくせに」 「あっ、ぅ……、やめ、うごくの……はぁ」 「何処がいいんだっけ。ねえ、自分で擦り付けてみせてよ」 「はぁ、あっ……そ、なの……むり」 「なんで……? 恥ずかしい? 俺しかいないよ。それともそんなに一緒に居たいの? 終わっちゃうのが勿体無い……?」 「うっ、く……はぁ、あっ、ちが……おまえなんか、あっ、き、らい……」 「ふうん、こっちは好きって言ってるけど。さっきから締め付けてくる」 「あっ……ば、かやろっ、そんなわけ……はぁ、ん、んん」 反論もままならず、奥へと捩じ込まれて言葉がほつれ、どんどん途切れて悩ましい声にすり替えられる。 思わず肩を掴み、耐えるように目蓋を下ろすも快楽は隠せず、感じ入る吐息が次へと漏らされていく。 足に力を入れたところで阻止出来ず、ぐぐと熱で貫かれる度に蕩けてしまい、じんわりと身体が疼く。 視界がぼやけ、真っ直ぐに見つめられて息が詰まるも、眼前から逃れる事なんて出来やしない。 達したはずの自身も、欲深に白濁を散らしながら再び熱を孕んでいき、一体何度劣情に浚われるのかと呆れてくる。 だが止められず、か細い喘ぎを聞かせながら追い立てられ、腰が揺らいで徐々に欲望に流されていく。 「あ、あぁっ、や……やだって、いって……」 「何が嫌なわけ? 言っておくけど動いてんのお前だからな? そんなに気持ちいいんだ。だらしない顔してんなァ、お前」 「はぁ、あ、ぅ……おれじゃな……あっ、あ」 「じゃあ誰なの? お前がしてないって言うんなら誰がやってんの」 「あっ……あ、そこ、やめ……」 「泣く程いいんだ。お前さァ……、こんなになっちゃってどうすんの。一人で居る時も我慢出来なくなっちゃうんじゃない?」 「あ……、うっ、ならない、そんな、の……はぁ」 「分かんないよ。お前が気付いてないだけなんじゃない?」 弱々しく首を振り、懸命に否定しても信じてはもらえず、繰り返し打ち付けられて淫らな声が溢れる。 堪えようとしても無駄で、いいところを擦られてたまらず、甘ったるい痺れをもっと感じていたい。 ちがう、そんなわけないと思っても、自ら腰を揺らめかせている浅ましい自分には気付けず、目を背け、縋り付いて溺れていく。 望んでいなかった、けれども今は離れられず、自分には彼しか居ないのだ。 何もかもを情欲に取り込まれ、誘うような声ばかりを上げてはしがみつき、下腹部へと感じる熱に翻弄される。 「あっ、は……はぁ、い、くっ……いっちゃ、あ、あぅ、もう、やだっ……やだって、離しっ……」 「何が嫌なの? こっちの方がいいんだっけ」 「あぁっ、ち、が……あぁ、ぜ、んっ……」 「違うって何……? お前のいいところは何処なわけ? なぁ、真宮」 「はぁ、う……く、そっ……しってんだろっ、あ、は……」 「あ、まだそんな口聞けるんだ。案外元気だな」 「ん、んぅっ、はぁ、はっ……あ、奥っ……、こっち、こすって……」 「はいはい。此処がいいんだもんな、真宮ちゃんは」 「はぁ、あ、い、いっ……ぜ、ん……ぜんっ、あぁいっちゃ、う、奥、きもちいっ、あ、あぁっ」 いつしか貪欲に悦楽を浚い、反抗的な言動をしていたかと思えば腰を揺らし、より一層熱量を求めて喰らい付いていく。 擦り、擦られて甘やかな痺れが背筋をさ迷い、ひくつく自身からは白濁が乱れ落ちている。 躊躇いもなく名前を呼んで、何度も何度も求めては触れて、ぐじゅぐじゅと淫猥な音を立てて追い立てられていく。 理性等という枷は、きっともう大分前から行方を眩ませていて、いつしか甘美なる欲望のみに突き動かされている。 腰が揺れる度に自身が震え、欲深なものを噴き出させながら辺りをけがし、もうどうにも出来ない。 執拗に攻められては律してなんていられず、とうに己を見失って涎を垂らし、蕩けた表情を惜し気もなく晒して暴虐な悦楽を咥え込む。 「あっ、あ、あぁっ、う、い、くっ……ん」 感じ入りながら視線を向ければ、伏し目がちな青年が映り込み、乱れずとも僅かな熱情を窺わせる。 繋がりを得て、彼なりに感じているのかと思うと、言い様のない昂りが増して絶頂がまた一つ近付く。 肩に添えていた腕を回し、首の後ろに触れて髪を慈しむように撫でれば、気付いた彼が視線を上げる。 自ら迫って、唇を重ねて、舌を這わせ絡ませ捩じ込んで、荒い息遣いが零れて淫らな糸を引き合う。 深々と貫かれて気持ちが良く、抗い難い熱が一点に集って解放を待ちわび、自身からはすでに先走りが止まらない。 「ん、ふぅっ、は、はぁっ、あっ、ぜん、ぜ、んっ、あっ、いい、きもちい、い……あ、あぁっ」 あられもなく声を上げ、肉欲に溺れて止めどなく涙を溢し、それでももう取り繕う事はない。 従順に足を開き、腰を揺らして擦り付け、律動に合わせて自身を高まらせる。 甘え、縋るように名を呼んで、自ら求めて口付けて、舌を絡ませて唾液を混ぜ合わせて吐息を乱れさせ、濃密な一時に呑み込まれて這い出そうという気持ちもない。 「はっ、はぁ、あぁ、も、う……でる、あ、あぁっ、や」 「いいよ。ますます逃げられなくなっちゃうね、お前」 「あっ、ん、ぅ……あ、あぁ、あっ……!」 ぐち、と何度目かの打ち付けにより堰を切り、強烈な快楽に襲い掛かられて何にも考えられなくなり、すっかり惚けてびゅるびゅると白濁が噴出される。 程無くして内部にも奔流を感じ、狂おしい程の熱さで埋め尽くされていき、乱れた息が止まらない。 「はぁ、は……」 「真宮」 「んっ、あ……あ、つい……なか」 「そうだね。熱い……」 「あ……ぜ、ん」 放たれたものを受け止め、けれども溢れて零れていき、感じながら彼へとしがみつき、暫くはもう何も考えられない。 思考を浚われ、幾度重ねたか分からぬ唇をまた合わせ、まだ背徳的な行いからは抜け出せそうにない。 寝台へと沈み、繋がり合ったまま緩やかに行き来され、ぼんやりと天井が映り込むも何を思う事もない。 「あ、あぁ……、は」 今はただひたすらに互いへと溺れ、まだ暫くはまやかしの安らぎに浸り、けだもののように求めては相手だけを見つめていた。

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