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第15章の24
その思いが嗚咽に変わろうとするのを諒が必死で抑えようと、口を左手で抑えた途端、
体はバランスを崩し、前に倒れ、ゴツンという音と共に、ドアにぶつかり…
「えっ? 諒? 何? どうしたの…? 」
…気が付けば社長室に飛び出てしまっていた…
諒は、目の前になってしまった真樹に、本当に何と言っていいかわからなかった。
が、すかさず社長が、
「真樹、すまない。諒に隠れて聞いてろって言ったのは俺だ。社長命令だ。」
それを聞いて、諒はまた涙があふれてくるのを止められなくなった。
兄貴を信じられないのか、と怒り出すどころか、
立ち尽くす真樹も諒を見て唇を噛んで何かをこらえると、
「諒、ごめんな。諒が外に出ることが多いから、嫌な思いもいっぱいさせちゃって…」
と、諒の手を取って立ち上がらせてくれた。
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