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第15章の31

すると、通りすがりの若い女の子たちが、一行を見て驚いているのに気づく。 特に、諒に目を留めたらしい子たちが、 <麻也ちゃんいない…> <え? 何で? 麻也さんは…?> と、ささやいていたのが何だか悲しかった。  社長がついた嘘…雑誌社からのリークの話が嘘だと知らないままの真樹は、 「諒が電話しづらいなら、俺がかけて、途中で替わるってのはどう? 」 「じゃあ、それでお願いしようかな。」 自分が参加しているとわかった時点で即アウトだろうな、と思いながらも、 真樹にも悪いので、諒はそう答えた。  暮れも押し迫っているせいか、人気の焼肉店も客は少なかった。 社長が店長に何かささやくと、一番奥の落ち着いた座敷席に案内された。  乾杯が終わって、肉が運ばれてきたが… (でも、麻也さんからの誘いを待っていただけなんて、俺の甘えかもな… 麻也さんは<察して天使>なんだし…) 「ちょっとぉ、奉行! 早く肉焼いてよっ! 」 「こっちは腹ペコなんだから~ 」 珍しくぼーっとしていた…諒はいつもはリズム隊にうざったがられる肉奉行なのだ… にこにこと嬉しそうに食べてくれるのは<姫>だけで… その<姫>が今日はいない… 「あ、ごめん、いいよ、今日はフリーで…」

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