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第15章の32

「あ、そうだ、兄貴に電話するね…」 直人が肉を焼き始めたところで、真樹は電話をしてくれた。 すぐにつながったようだが…真樹はびっくりしていた。 「えっ? そうなの? あのねえ、一番奥の座敷。赤い壁の個室の左側。 わからなかったら店長さんに訊いて。」 と、電話を切ると、真樹は大笑いして、 「兄貴ったら、当たりをつけて、すぐそこまで来てるんだってさ。 おなかすいたし、寂しくなったし、だってさ。 ほんと、素直じゃないんだから…」 と、真樹がみんなに説明して、さらに社長に何か言いかけた途端、 「いやあ、遅くなりまして~ 」 と、あの一件はなかったかのような、極上の笑顔の麻也が現れた… みんな驚き、大笑いしたが、麻也はすましたもので、 「この寒空で、一人だし、おなかはすいてくるし…」 「兄貴、ストイックに仕事するんじゃなかったのかよ~!! 」 どうしたものか諒が困っていると、隣の鈴木が、 「諒さん、社長がカップル個室取ってますって。」 「えっ? 」

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