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第15章の38
…出入り口の襖に、ぼこ、ぼこ、と何かがぶつかる音…驚いて、2人は顔を見合わせた。
「のぞき…? 」
「店長の反乱? やってられるかあ!とか…」
諒は麻也を守るために、立ち上がると襖まで歩いていった。
用心しながらそろそろ、と襖を開けると、上り口の台に腰を掛けた、直人と真樹が振り返り、
「ごめん、真樹がなかなか2人に声をかけないから…」
「たまには直人もやれよっ! 」
「だって2人が何かしてたら困るじゃん。真樹だってそれで俺に押し付けたんだろっ…」
と、笑い上戸の2人が叩き合いを始める。さっきの音は、この手がぶつかった音だったのだろう。
「で、用事は何!? アイスが溶けるっ! 」
「ごめんごめん。もうそろそろお開きだから合流して、って呼びにきたの。」
すると、諒の後方の麻也を見て、直人が腹を抱えて大笑いを始めた。
「麻也さん、すました顔で食ってんのに、後頭部もしゃもしゃで可愛い…」
諒と真樹が振り返ると、確かにそこには席に着いたまま、
すました横顔を見せてアイスを食べている、乱れ髪にも笑いにも気づいていない麻也が…
しかしみんなの視線を感じたらしく、
「え? 俺? どうかした? 」
「兄貴! 後ろの髪! 」
「あ、しまった…」
目を吊り上げた真樹は今度は諒に、
「まったくもう、何やってんだよ、諒も兄貴も! 」
形勢逆転、諒は苦しい言い訳を…
「い、いや、畳って何かそそられない? 」
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