813 / 1053
第15章の43
麻也はためらうことなく、でも、決心が揺らぐことが後ろめたくて、
目を伏せてシャツのボタンを外し始め、シャツを脱いだ。
いつもならこのあたりで諒が覆いかぶさってくるのだが…
諒は少し目をそらしたかと思うと、またにらみつけてくるだけ…
…麻也は一糸まとわぬ姿になると、恥ずかしかったが諒への気持ちを総動員して、
諒の瞳を見つめて言った…
「諒…」
やっぱりいざとなると恥ずかしくて、誘いの言葉が出なくなった。さらには目も伏せてしまった。
諒は何も言ってはくれない。が、服を脱ぎ始めているのがわかる。
そして、無言のまま近づいてくると、乱暴に麻也の体をベッドに押し倒した。
こんなに乱暴に扱われるのは、あの復縁の時以来ではないだろうか…
でも…
麻也が願うのは、自分には諒しかいないということが諒に伝わること、
そして、諒の怒りや悲しみがなくなってくれること…
(そのためなら何をされてもかまわない…)
…そう思った麻也だったが、諒に両手首を押さえつけられ、
麻也が愛してやまない緑の瞳で観察するように瞳をのぞき込まれ、
下腹のあたりに諒の肌を感じると、しばらく情事に無縁だった麻也の体は反応を始め…
「…っ…あ…」
抑えようとしても抑えきれない。
その喘ぎを聞くと、諒の表情は麻也を嬲るようなサディスティックな笑みに変わったが、
その凄惨な美しさも大好きだと麻也は思った…
ともだちにシェアしよう!