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第15章の50
「…諒…」
「あ、ごめんね、起こしちゃって…って起きるよね…」
二人でゆるく笑ったが…麻也はちょっと諒に悪いなと思って…
「諒、離して。せっかくシャワー浴びたのに、俺の汗が移っちゃうじゃん…」
すると諒はさらに密着してきて、
「いいの、それは。俺は麻也さんのタオル。そのために、
しんどかったけどシャワー浴びてきたんだから…」
「あはは、諒もしんどいんだ…」
麻也の笑い声の弱々しさは諒には予想以上だったらしく、
「ちょっと、麻也さん、大丈夫?! もしかしてこの姿勢しかとれないの? 」
「うーん、そうとも言うねえ…」
「そんなのんきな声出してる場合じゃないでしょっ! 」
何となく、上からものを言われたようでカチンときた麻也は、
「…じゃあ、責任取れよ…」
「はい。じゃあ、迎え酒ならぬ、迎えピストンで…」
本当に口の減らない男だ…
「う・る・さ・い~でも、諒もかなり疲れてるね。」
「え? どうして? 」
「だって、<ピストン>て言う時、腰動いてなかったもん。」
「ははは、麻也さん、鋭いね。」
二人で力なく笑ったが…
何だか昨夜までのことを口にするのは、お互い避けている雰囲気…
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