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第15章の51
「…俺たち明日帰省できるのかなあ…」
あたりさわりのなさそうな話題を見つけたと思った麻也がそう言うと、意外にも諒は、
「え? 麻也さん、明日帰れるの? 」
それを聞いて、麻也はムッとしてしまった。
「一緒じゃなきゃいや、みたいに言ってたじゃん…」
「うん、それはそうだったんだけど、困ったことができてさあ…」
「えっ、どうしたの? 」
振り向けないこの体勢は少し笑えるかも…と麻也が気づいて怒りを忘れた時、
諒が発した言葉は…
「…姫始めがね…」
「はあん?! 」
久しぶりに大きな声の出た麻也だったが、諒は驚いた風もなく、
「…帰省前の今夜、0時をまたいで元日一番にしようと、諒クンは思ってたのね。
でも、元日にヤると、老けちゃうんだって。
前回は正月でも2日だったから問題なかったんだけど。
だから…」
「それ、しなきゃダメ? ご利益とかあるの? 」
「あ、それは聞いたことないな…でも、きっと何かあるんじゃない? 」
腰の上で重ねたばかりの手を麻也はひっこめると、
「そんな根拠のないことで、予定変えるなんてヤだよっ! 」
「でもお正月の習慣だし…日本人なら…」
落ち着かせているせいでいっそういやらしさを増した声で、諒は説得にかかってくる。
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