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第15章の55

「ううん、俺のことは気にしないで。いつも諒とは一緒にいられるんだから…」 「麻也さんはどうするの? 」 「…悪いけど、俺はあっちに帰ることにする。ちょっと気になるギターがあるから…」 諒がちょっと寂しそうな顔をしたので、麻也はちょっと甘えた声で、 「まさか明日の夜もこうして会えないでしょ? 」 すると、諒はやっと笑顔を浮かべてくれた。 照れくさそうにストローでソーダをかき回しながら、 「もう、麻也さんたら…」 と、誘うような瞳を麻也に向けてきた…  諒をあまり引き留めるのも気が引けて、 早々に諒の運転する空色の軽自動車に帰りも乗せてもらったが… 「急にラブホと言われても駅前しか思いつかな…」 「もう、無理してそんなこと言わなくていいよ…この車、大翔クン専用でしょ? 」 と言ってから、麻也は一人で笑ってしまった。 「何よ、麻也さん? 」 「いや、不倫カップルみたいなこと言っちゃったと思って…」

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