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第15章の58
「…親も少しは俺のこと、認めてくれたのかな、なんてね…」
と、照れたような表情で麻也から目をそらす。
「良かったじゃん。うらやましいよ。俺、そんなこと一度も言われたことない。
そのくせ、次のツアーは横浜で見たいとか言うし…」
「あ、ウチも。大翔預けて見に来るって。武道館だと楽屋が混んでて悪いからって。」
「早く大翔クンもライブに来られるようになるといいね…」
麻也がぽつんとそう言うと、諒はうつむき加減で笑顔を浮かべ、
「そうだね…麻也さんとのキスシーンにも早く慣れさせなくっちゃね。」
「何それー!! 」
いつもの2人に戻ったな、と麻也が思ったところで、不意に諒に抱きすくめられ…
軽いけど甘いキス…
「今年初めてのキス、いただいちゃいましたあ~」
「もう、諒ったら…」
いやあ、なんで昨日は車チューをしなかったのかなあ、なんて諒はうそぶいている…と、
「あれ、麻也さん、そのモップどうしたの? 」
「泥棒だったらと思って、武器にしたの! 」
それで麻也は思い出した。
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