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第15章の64

「じゃあ、吸ってはいないんだな。安心したよ。」 「未成年かよ~!!」 大笑いするリズム隊をよそに、ほっとした様子の社長は嬉しそうに写真を眺めながら、 「ま、少し貫録はついてきたのかな。この調子でライブの規模も、 外タレ並みにどーんといってほしいもんだ。」 と、メンバーに向かって微笑みかけてくる。 が、いつも切り返し役の諒が、無実の罪で怒鳴られたのをまだしょげているので、 しまらない。 なので、麻也が言ってみた。 「うん。デビッド・ボウイよりかっこいい諒がいるから、大丈夫ですよ。」 「おっ、麻也、言ってくれるな…」 「兄貴、また明日遅刻になるって…」 「なったらゴメンね…」 とうそぶくと、いつしか諒は、はにかんだ笑みでこっちを見ている。 (そのおっきい、二重まぶたの、これ以上はないっていうくらい美しい瞳に俺は惚れたの…) さすがにその言葉は、心の中で続けたのだけれど。 (この章終わり)

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