834 / 1053
第15章の64
「じゃあ、吸ってはいないんだな。安心したよ。」
「未成年かよ~!!」
大笑いするリズム隊をよそに、ほっとした様子の社長は嬉しそうに写真を眺めながら、
「ま、少し貫録はついてきたのかな。この調子でライブの規模も、
外タレ並みにどーんといってほしいもんだ。」
と、メンバーに向かって微笑みかけてくる。
が、いつも切り返し役の諒が、無実の罪で怒鳴られたのをまだしょげているので、
しまらない。
なので、麻也が言ってみた。
「うん。デビッド・ボウイよりかっこいい諒がいるから、大丈夫ですよ。」
「おっ、麻也、言ってくれるな…」
「兄貴、また明日遅刻になるって…」
「なったらゴメンね…」
とうそぶくと、いつしか諒は、はにかんだ笑みでこっちを見ている。
(そのおっきい、二重まぶたの、これ以上はないっていうくらい美しい瞳に俺は惚れたの…)
さすがにその言葉は、心の中で続けたのだけれど。
(この章終わり)
ともだちにシェアしよう!