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第16章の2
休憩に入ると、ココアを飲みながらネタ帳を広げ、あらかじめ書いてきたことを見ながらも、
ラジオでアピールする点について考え込んでしまう。
思いは他のメンバーも同じようなものらしく、雑談が弾まない。
というのも、今回のシングルもアルバムも、資料用の音源を渡した評論家や音楽ライターにはえらく不評だったからだ。
<若いメンバー自身とファンには新鮮かもしれないが、まるで昔の歌謡ロック>
<日本のロックを退行させる?問題作>
<やっぱりルックスだけのアイドルバンドだった?>…
…などと、あまりいい評価は聞こえてはこず、まだファンには知られていないが、
本当に業界内では<問題作>扱いだったのだ。
麻也を中心にしたセルフプロデュースが良くなかったのではと言い出す者までいた。
でも、メンバーたちにはもちろん、迷いはなかった。
ファンにも、そしてそのうち問題作扱いしていた人々にも理解されるという自信があった。
そして、その自信を語る機会がせっかくあるのだから、そんなライターに対してもを含め、
多く語るようにしなくてはとメンバーやマネージャーなどの身内では話をしていた。
…ラジオ局には早く着いてしまい、少し楽屋で休める時間ができたが…
DJの2人が早く呼ばれて立ち上がる時、テーブルの上に置かれた2冊の男性ファッション誌を見て眉をひそめ、それをごまかすような明るさで、
「それじゃあまた後でね~」
と、出て行ったのが麻也には何だか気になった。
諒は何も気づかなかったらしく、社長が「面白いから読め」と貸してくれたというマーケティングの文庫本を読んだり、自分のネタ帳をチェックしたりしている。
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