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第16章の8

ファンの期待をあおりつつも、ファンクラブからの正式発表までは引っ張らないと… 「…ごめんなさい。まだ詳細は未定です。」 諒はそう答えると、さらに付け足した。 「でも、本当にこの前のツアー以上のものをお見せしますので、楽しみにしていてください! 」  …放送を終えて、メンバーが帰ろうと玄関までやってくると、寒い季節だというのに、 100人は超えようかというファンが出待ちをしていた。 いいことではないので、メンバーは目をそらして迎えのワゴンに乗ろうとしたが、 久しぶりに見る生のファンの姿が嬉しくて、麻也も笑みを隠すのに骨が折れた。 が… 「諒子ちゃん、ラブホがんばってー! 」 ラジオを聴いていたのだろう。一人の女性ファンの叫びに、メンバーもファンも爆笑してしまった。 すると続けて、 「麻也さん! 俺も抱いてほしいっす! 」 「真樹さん! 俺、高いホテル用意します! 」 と、野太い男の声が飛び、また女の子が、 「直人さん! オトコはやめてえ~! 」 すると諒が振り返り、また愉快なオネエ口調で言い返した。 「オトコはダメだってゆーのっ?! 」 するとファンはみんな笑って、 「オッケーで~す! 」 とだんだんエスカレートしていくので、仕方なく、メンバーは笑いながら手を振り、車に乗り込んだ…

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