847 / 1053

第16章の13

男たちはぎょっとして、 「あ、麻也さん、どうも…」 麻也がまだいるとはこれっぽっちも思っていなかったのだろう。 真っ青になった二人は、携帯を忘れたとか何とか言って、 麻也たちに軽く会釈をすると、その場を足早に去っていった。 その後、エレベーターはすぐ来て、ずっと鈴木と二人きりだったが、 麻也には口を開く気力もなくなっていた。  しかし、タクシーに乗り込んでしまうと、麻也は鈴木に話しかけずにはいられなくなった。 「…鈴木さん…」 「なんですか? 」 麻也は無難な質問を選んでしまう。 「スタジオ出る時から暗い表情してたのはどうしてなの? 」

ともだちにシェアしよう!