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第16章の14
珍しく鈴木は口ごもった。それがますます麻也を不安にさせた。
「…俺、本当はよその事務所のいいようにされてるの? 社長がそのレールを引いたの? 」
「いや、そんなことはありません。」
「じゃあ、どうして俺はあんなこと言われなきゃいけないの? どうして鈴木さんの様子がヘンなの?
それがわかんないと、俺、メンバーと音なんか出せないよっ! 」
下を向いて頭を抱え込んだのは演技だったが、鈴木はあわててしまい、
「僕がスタジオから出る時に心配になったのは、今日の麻也さんの冷遇が原因です。
他にもプロジェクト抱えてるから、それにもひびいたら、とか、
何か裏であったんじゃないかとか思ってしまって…」
「裏で、って? 」
訊いてから、麻也は後悔した。
が、鈴木の答えは、
「何しろ相手は強引な社長さんの会社ですから、
鶴のひと声で麻也さんの扱いを契約より小さくされたりとかですね、
契約金額減らされたり、宣伝効果を下げられたりとか…
でも、ウチの社長が組んでいるのは相手の社長の対立派ですから大丈夫ですよ。
思えば今日の仕打ちは、若い女の子のスタッフなら当然の警戒ですよね。」
まして、彼女は麻也さんのファンだし、とも言われて麻也は少しほっとした。
…しかし…
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