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第16章の16

 …いざスタジオに入ると、早めに音合わせをしていた諒が、休憩でくつろいでいたが… 麻也を見るなり気づかわしげな色を一瞬瞳に浮かべ、 でも周囲に気づかれないように笑顔を作って立ち上がった… そして、優しく後ろから抱きしめてくれると、耳元でこっそり、 「…何かあったの? 」 諒の気づかいが本当に嬉しかったが、心配させたくはないので、大丈夫だよ、と目を見て答えた… と、フラッシュが光る。 麻也がびっくりして光った方を見ると、須藤が笑いながらカメラを構えていた。 きっとこれも会報に載せるのだろう。 しかし、驚いたことに、諒は麻也から手を離すと、 「ちょっと、撮らないで! プライベートだから! 彼氏なんだからカメラやめて! 」 と、怒りながら、長い腕を伸ばして手でレンズを隠すようにしながら須藤のカメラに近づいて行く… しかし須藤もひるまずシャッターを切る。フラッシュがまた光る。 が、周りのみんなは笑いをこらえている。 「写真週刊誌ごっこだよーん…」 と、ターンして諒は笑顔を麻也に向ける。 「さっきまでは一人で撮ってもらってたから、なんかつまんなかったの。」 と諒が言えば、須藤も他のみんなも大笑いで、 「今の迫真の演技もセットで載せますから。」 「みんな疲れてるねえ…」 諒の可愛らしさと、ホームグラウンドのあたたかさに一瞬、癒された気がしたが、 彼女持ちの、まだスタジオに着いていない真樹や直人には冗談ではすまされないことに気づいて、 麻也は笑えなくなってしまった…

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