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第16章の17
…リズム隊も揃い、リハーサルが始まると、まだまだライブ用の音づくりに難航する。
「キーボードの音、もう一回下さい…」
サポートのキーボーディストも固定化し、クセも好きな音のパターンもわかっているはず、なのだが…
麻也もエフェクターなんかの機材の設定をあれやこれやと変えてみるが、
いつもより曲がまとまるのに時間がかかりすぎているような…
…のは、自分たちのポジションが上がってきているためなのだろうと麻也はふと気づき、
たった今まで気づかなかった自分にあきれてしまう。
(これもプレッシャーのなせるワザなのか…)
冷静になれ、と自分に言い聞かせる。
自分を信じろ、とも。
バンドも成長しているが、メンバーひとりひとりも成長していて、
バンドをうまくコントロールできるようになっているはずなのだから…
…曲の途中で、真樹が演奏を止め、エンジニアと話し合い始めたのを待っている間も、
麻也はいろいろ考えてしまう。
(これでギターソロになって、ポージングはアドリブとして、
衣装は本当に動きやすくて綺麗なのが、って…)
…それを形にするまでに、衣装の打ち合わせやフィッティングの時間も必要だし、
ポージングも部屋でこっそり考えるかも…これまでの自分の動きもチェックするか…
(諒に交渉して、寝室にもテレビ置こうかなあ…)
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