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第16章の32←(諒のお泊り愛が読めない麻也クン)
横を向いた女の方は壁に寄りかかり、さらには車の影にもなっていて…
(あんまり関村女史っぽくない…ってことは、他にも誰か…?
でも、諒は正月以外はケンカしててもずっとウチで寝てたし…)
「いや、俺、有名な女優なんて…」
「まあいいから読め。」
社長に言われて諒はいやいや読んでいた。
諒は読むのが人一倍早いので、読み終わったとみると、
麻也はすぐにその雑誌をひったくって読み始めた。
が、すぐにまた、諒がそれを取り上げようとして麻也は引っ張り合いになった。
「麻也さん、こんなのウソばっかりだから読まなくていいの! 」
「いちおう知っておかなきゃ困るだろ! 」
結局麻也は読むのが嫌だったので、手を離してしまったが…
案の定、例の関村女史のマンションに諒が一泊したという話で…
「…でもあの人結婚してるんでしょ? ダンナさんの留守に上がり込んだの? 」
「ウソ話なんだから、俺だって知らないよっ! 」
リズム隊はもうビデオの打ち合わせに入っているのでそっちも気が気ではないのだが…
社長も怒るというより苦りきった顔で、
「ウソかホントか知らないが、自宅以外に、アトリエというか、
セリフを覚えるための仕事部屋として最近マンションを持ったんだってさ。」
「社長! 俺なんて、正月三が日しか麻也さんと離れてないんですよ!
どっかにお泊りなんてできるわけないでしょ!」
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