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第16章の33(←3人まで疑われる諒と麻也クン)

諒はだんだんヒートアップしていくが、 その表情から見ても、また正月のことを考えあわせても、 麻也も嘘だとしか思えない。あの三が日で浮気なんて… でもここで積極的に応援すると、<おや珍しい>とかえってこっちが何か探られそうなので、 麻也は黙っていた。 「…須藤くんは、関村女史の差し入れは仕方なく受け取って、 誰も手を付けずに処分してたっていうけど、 陰でその…高いブランド物とか押し付けられたとかそんなことはなかったの?  お前ら、クルマはどうしてる? 」 (諒にまでクルマのウワサがあるのか…? ) 「もちろんあのベンツです。麻也さんの実家の。」 「諒、麻也がいないところなら本当のことを話してくれるか? 」 この言葉には麻也もさすがに血の気が引く思いがした。 社長が知っているのは真実なのか、それともウワサなのか… でも、諒を信じていることを伝えたくて、 「諒、あの人のことでどれほど嫌な思いしてるか、 俺がいると相談しづらいなら、俺、いったん席外すよ。」 諒は驚いて麻也を見てくる。社長も、 「おっ、麻也、今日は落ち着いてるな。」 「えっ? そうですか? 」 麻也はとぼけたが、事務所の社長は視点が違うようだ。 「まさか、おまえたち…3人で…」 「はあ? 」 そこに、ノックして入ってきたのは須藤だった。 手には、つばの広い黒いベルベットの帽子… 「社長、この帽子じゃないかって。麻也さんがかぶっていたのは…」

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