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第16章の34(←諒の不倫写真に困る麻也王子)

 それは休み明けのスタジオの帰り、<風邪ひきそう>と言った麻也に、 直人が貸してくれた魔女っぽいかもなハット… 「…ねえ、麻也さん? 」  須藤に言われ、麻也と諒は口も目も大きく開けたまま顔を見合わせた。  記憶がつながった。あの寒い日… 降りたタクシーがなかなか発車せず、さらには、運転手がタクシーチケットをもらってないとか、 もう一度探すとかで… 諒も麻也も内心はイライラしながらも、人気商売なので笑みを見せつつ、 自分たちのマンションの外塀のところで待っていたことを… しかし、雑誌の写真は…麻也には自信が持てない。 「うーん、でもこれが俺…? 寄っかかってるから背が低く写ってるのか…あ…」 「どうしたっ!? 」 何事かとみんな叫んだ。 「…これ、イケてないグラサンの時だ…」 「なんだよっ!そんなことかよっ! 」 社長はそこでため息をつくと、 「いや、俺も須藤くんもこんなからくりじゃないかとは思ったんだけど…」 諒は頭を抱えてしまい、 「恥ずかしい…直人にも知られちゃったんでしょう…」 すると須藤は、 「一緒にいたから真樹さんにも話さざるを得なくなって…」 「はぁ…そうですか。わかりました! 2人には自分で無実を説明します!  これでおしまい! 」 しかし、社長は冷静に諒を止めた。 「いや、まだ終わってないよ。写真はデタラメでも、文章の方はどうなんだよ。」

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