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第16章の36(←風評撃退中の麻也王子)

社長はもう手元にまとめていたらしい。順に項目を読み上げていく。 「…関村さんとは恋愛していないこと、 その…男女の関係にもないこと、 お金やモノを貢がれていないこと、 彼女のマンションにも出入りしていないこと、 彼女と一緒でも一緒でなくても、違法なものはもちろん、 合法でもドラッグは使用していないこと。」  麻也も、想像はできていたけれど、いざ内容を聞くと何だかショックだった。  特にドラッグのくだり…  それに、<そんなに信用がないのか>と諒が言ってしまえばすべてが終わってしまうように思えて、麻也は胸が痛くなった。 しかし、諒は一瞬唇を噛むと、 「…すべて間違いありません。」 と、これ以上ない鋭いまなざしで社長を見据えた。 それに応えて社長は深くうなずくと、 「…諒、ありがとう。すまない。でも、今度のアルバムとツアーで、 本当に東京ドームに王手がかかると思うから…」 立ったままの須藤は早くこの部屋を出たいようなそぶりだった。 「須藤くん、電話ならちょっと待って。今、付き人の話しするから、それからにして。」 と、社長は須藤を引き留めると、 「諒がしつこい有名人に付きまとわれているのに、相手が年上だからとか女性だからとか、 相手が諦めるだろうとか、諒本人で何とかするだろうって、甘えていた俺が悪かった。 申し訳ない。」 「…」 諒は唇を噛みしめたまま、無言でうつむいたままだった。

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