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第16章の37(←★諒を傷つけてしまった?麻也王子)
社長も困った表情で、
「お前たちにはできるだけ早く付き人もつけるようにするから。とにかく、できるだけ知らない人間と2人きりになることのない状態にするから。」
「…はい…」
「麻也もそれでいいな? 」
はい、と答えはしたものの、諒にその気配がないので、せめて自分が訊くべきではないかと思って、もう一度須藤に尋ねた。
「で、女性週刊誌の方はどういう問い合わせだったんですか? 」
でもまた須藤は渋る。
今度は、すっかり傷ついてしまった諒を気づかってのことらしかった。
しかし、社長が促したので、須藤はようやく話してくれた。
「あの…その女優さん、本当にダンナさんと別居状態らしいんですよ。
本人やその周囲は、借りたマンションは役作り用の空間だとか、
仕事が増えてきたので、ダンナさんと生活時間が合わなくて、
帰りが遅いときの宿泊用、とか言ってるけど、本当は離婚に向けての別居じゃないか、
と言われてて…」
その先は、麻也にも想像はついたが…諒に嫌な思いをさせても最後まで聞かなくては、
という義務感の方が勝ってしまった。
「…それで、諒さんの名前が浮上したんです。
最初は、年上熟女の愚かな暴走って思われてたのに、
そっちの雑誌が出たから、もしかして本当に関係があるのか、とか、意地の悪い見方をすれば、
できるだけ便乗して<噂がある>くらい書きたかったのかもしれないですね。」
そこまで聞いて、諒はやっと口を開いた。
「…そうですか。で、須藤さんは何て答えるつもりなんですか? 」
「もちろん、まったくおつきあいはありません、と。」
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