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第16章の46(←撮影で俺様な諒を眺めるだけの麻也)

その夜はリハーサルだけになってしまい、撮影には入れなかった。 というのも、メンバー全員の顔のコンディションが疲れのためにサイアクな状態だったので、 メークだのライトの設定を変更し…などさまざまな変更が出てきたからだ。 それでブレイクが入るたびにメンバーは休んだり、 水分補給をしていたが… 「小野ちゃん、タオル…」 「小野ちゃん、水…」 と、さっそく麻也付きの小野をアゴでこきつかっているのは諒だった。 諒たちメンバーより一つ、麻也よりは三つ年下の新人二人はどちらもフットワークが軽く、 気が利いているようなのに、なぜ小野ばかりを使うのか… しかしそれを咎める元気はこの日の麻也にはなく、 ぼーっとしゃがみこんでいると、三浦が、 「麻也さん、水持ってきました…」 「ああ、ありがと…」 一見、腹黒そうなところもなく、どうして諒がこの彼を避けるのか麻也にもわからない。 が、麻也はこういう忙しい時だからこそ、みんなの決定事項を曲げたくなかった。 二人はツアーにも同行することになっていたからだ。 (明日の外出には小野くんを取り戻さなきゃ…ツアー先で混乱しちゃうじゃん…) ただでさえスタッフが増えて混乱するライブ当日。 このままでは諒と自分への連絡がまず錯綜してしまうだろう… と、見れば気づかわしげに自分と三浦の様子を心配そうに見ている真樹と直人の視線があった。 まだ付き人が決まっていないリズム隊が、 逆に気をつかって三浦に声をかけていたようだった…

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