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第16章の56(←諒は行方不明?その時麻也は?)

 時計を見れば、まだ遅刻の時間ではなかったので麻也は少しほっとしたが、 さりげなく携帯を見ても、着信の形跡はない・・・ ということは、二人が前ぶれもなくやってきたということで…とにかく緊張する。 「…あの…何かあったの? 」 すると須藤が、 「麻也さん、その様子だとゆうべも寝てないんでしょう?  こちらも遅くなって申し訳なかったですが、病院、行きましょう。 明日になればチャートも出るし…」 そう言われると、一位になったら自分の不眠は治るかも、と麻也は気づいた。 そうすれば薬を飲むこともないから、 体に負担がかかることもないだろう… でも、チャートが原因かもなんて言われるのも… 麻也が答えをためらっていると、鈴木が、 「諒さんの意見も訊いた方がいいんじゃないですか?  諒さん…まだ寝てますかね? 」 鈴木は本当に知らないらしい。 麻也は口ごもり、渋い顔になった須藤がどうにか、 「…諒さんはゆうべも…帰ってこなかったんですか? 」 「…うん…」 「どこにいるかは知ってるんでしょう? 麻也さんだけは。」 「いや…須藤さんこそ…」 「はあ?! 」 麻也の方は驚かなかった。 須藤も知らなかったということがわかって、 むしろほっとしたくらいだった。

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