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第16章の59(←オリコン1位になった麻也達)
その夜はツアーのリハーサルだったわけだが…
広いスタジオで、何だかメンバーもマネージャー陣も落ち着かず…
やっぱり翌日のチャート発表がみんな気になっていたのだ。
サウンドスタッフや、例の新人2人がいつもの通りに動いてくれるのを見てほっとしている自分たちがいた。
でも、そんな浮ついた気持ちを他の人間に悟られるのが何だか恥ずかしくて、
いつも以上に念入りに音を重ね、他のメンバーにもダメ出しをし…
麻也と諒も演奏の時だけだったが、メンバー同士として言葉は交わした…
しかし、諒は、小野ばかりではなく三浦も使うようになっていたが、
彼には笑みはほとんど見せていなかったようだった…
帰りには、麻也は、諒の乗ったタクシーを見送るはめになった…
(…明日、チャートのトップが獲れたら、何かが変わるだろうか…)
獲れても獲れなくても、明日は自分の方から、「いつ頃戻れそう? 」と軽く声をかけてみようと思った…
そして、麻也はその夜は、薬のおかげで、うとうとではあったが、
少しだけ眠ることができ、
次の朝は、久しぶりに<少し元気になったかも>という状態にまで浮上した。
携帯には<ほぼ確定みたいです>という、鈴木からのメールが着信していた。
週間チャートが発表される夕方、
社長の指示で麻也たちメンバーとマネージャー陣は事務所の会議室に集められていた。
最高の瞬間に、みんなバラバラではもったいないだろう、という配慮である。
もちろん多忙な彼らにただ待つだけの時間があるはずもなく、
プロモーションの分担に関する会議をしていた。
付き人たちは別室で、デスクの人間の手伝いをして、
膨大な数のファンレターの内容確認をしていた…
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