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第16章の60(←めでたい夜にも戻らぬ諒に麻也は…)

社長を含め、心ここにあらずのような会議室に、 息せき切って転がりこんできたのは須藤だった。 「…アルバム、シングル、両方チャート1位ですっ!! 」 一瞬、みんな固まった…後、声を上げたのは真樹だった。 「本当? ねえ、本当? 」 いざ現実になると、諒が冗談で言っていた万歳三唱も出なかった。 「ほんとですってば! このファックスを見て下さい! 」 みんな証拠のファックスを真剣に見つめた。 そこには確かにアルバムの1位とシングルの1位のところに<ディスティニー・アンダーグラウンド>と書いてあった。 社長は目を真っ赤にさせながら、少し震えた声で、 「これからが大変だと思う。俺にも経験はない。 でも、みんなで誠実にファンを喜ばせていこうな。 この1位の曲で、東京ドームにファンのみなさんも連れていこうな。」 「はい! 」 みんな元気に答えたが… 諒だけは表情が青ざめて見えた。 「諒、どうしたの…? 」 自然に出た麻也の言葉だったが、諒はうつむいたまま他人行儀に、 何でもないです、と答えただけだった。 どうにか直人が、 「ボーカルだからって、一人で何でも抱え込まないでくれよ。 俺たちにも重圧分けてよ。分けてくんなきゃ無理やりグサリとやって持ってくよ。」 と言い、諒もかすかに笑みを浮かべた。  そこからは、もう服部と伊豆は祝勝会の手配で大わらわだった…  しかし、その夜も、諒は帰ってはこなかったのだ… (この章終わり) ◆明日からは第17章<許されぬ恋…諒の場合>を更新の予定です。

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