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第17章の5←いかがわしい美・諒の本質。
「あ、俺より知ってる...」
しかし、そこで話は戻って、
「えー、でも、俺、もうトシだし...」
「そういう話ではなくて、美しさのレべルの話。
諒くんにはオリエンタルの美しさもあるわけだから、
その融合が至高でもあるし、
言葉は悪いかもしれないけど、
正反対の血が混じり合ってできたいかがわしさの美、みたいな、
ディスグラの曲の象徴みたいなところもあると思うんだ。」
本当に照れてしまった諒は、思わずつぶやいてしまった。
「今の言葉、麻也さんに聞かせたかったな...」
(…でも、今の俺も、聞かせたかった麻也さんも、
仕事の、アーティストとしての2人、だよな…)
何となく寂しさを感じる。
しかしカメラマンは笑顔で、
「髪が仕上がったら教えてよ。
麻也くんの前で俺、何度でも言ってあげるから。」
「え?本当に?ぜひお願いします...」
…それを須藤は聞いていたはずなのに…
撮影が終わると、
諒は三田のアシスタントに持ってきてもらったダンガリーシャツに着替えたが…
須藤は駐車場ではなく、
洋館の中の、さらに奥のスタジオへと、
諒を連れて行こうとする。
「 須藤さん、どうしたの? 」
「すみませんちょっと会いたい人がいて…あー、いたいた…」
と手を振って須藤が合図したのは、
他のアーティストのマネージャーらしい、
須藤と同じくらいの年齢に見える男性だった。
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