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第17章の11(←マネージャーに浮気をすすめられそうな諒)
しかし、須藤は何も答えてくれない。
諒は思わず、穴があくほど須藤の横顔を見つめてしまった。
信号待ちで、ようやく須藤は諒の顔を見て、
「いいじゃないですか。あんなステキな女性で、
何より諒さんに見合った売れっ子ってのがよかった。」
「それどういうこと? 」
今日は須藤もどこかヘンだ。
「もちろん食事会は麻也さんにもバレないようにセッティングしますから、
そこから先はモテ男の諒さん自身で何とかしてください。
あちらの方がお熱ってのも良かったですよ。」
「いや、そんな…」
麻也との関係でのちょっとした気持ちの揺らぎまでも須藤に相談していたこれまでを、
諒は初めて後悔していた。
「息抜きをしてほしいんですよ。社長も含め私たちは。」
「息抜き? 」
「そうですよ。麻也さんも諒さんもうまく育って、
バランスが取れたカップルになったと思いきや、
いつももめてばかりいるから…」
社長も困っているとは…いつぞやの麻也の読みは当たっていたのだ…
「そりゃあ、カップルには、他人にはわからないことも色々あると思いますよ。
極論を言えば、別れだって選択肢に入るかもしれない。」
「そんな…」
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