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第17章の13(←やっぱり押し倒すなら麻也王子な諒クン)

珍しく須藤が慌てる。 「え? どうしてですか? ああ、そうか、 諒さんが相手ならあちらのボルテージがどこまで上がるか…」 「…っていうか、須藤さん、頼むから俺の人生をこれ以上ややこしくしないで…」 と言って、車が駐車場に停まったところで、諒は奈生子の連絡先を須藤に渡した。 「…暗記したとか? 」 「違いますっ! まったくもう…デビュー前の俺じゃないんだから…」 縁があればまた彼女からアプローチがあるだろう… とちょっとだけスケベ心は残ってしまったが… (とにかく、麻也さんが<つらかったこと>を俺に教えてくれないことには…) それがクリアになったら、二人の関係は完璧なものになるのに… そしたら何があっても誤解や浮気や火遊びにしかならないのに。  エレベーターから、麻也がいなさそうなのを確認してから、 諒は事務所の廊下を歩き始めた。 それはやっぱり後ろめたいから… (でも、今ここに笑顔の麻也たんが現れたら有無を言わせず、 押し倒したいような気がする…) またため息が出てしまった… (俺のカラダと欲望ときたら、いったいどーなってるんだろう…)

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