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第17章の15(←麻也王子の透明感に弱い諒)
そのうち、写真も選び終えた諒は、
次のリハーサルに行くために須藤を探して、廊下に出た。
...そこで...
付き人になった三浦を紹介されてしまったというわけだった。
(…そりゃ、透明感のあるヤツだったけど…)
麻也たちと合流するスタジオへ、ひと足先に彼は小野と共に、
他のスタッフに連れられていったが...
「諒さん、そんなわけで...」
と須藤が言うには、ディスグラのレコード会社の役員の息子なのだという。
大学を出ても進路が決まらないのでバイトでもさせたい、
と父親がぼやいているのを社長と須藤が聞きつけ…
「それで、身内で口が堅いだけでもいいかと思って呼んだら、
他もなかなか良さそうな若者で。
お父さんは使えないかも、なんて謙遜してましたけどね。」
とはいうものの、
なぜ、肝心の自分を面接面接に同席させてくれなかったのかという疑問は残る。
(まあ、俺に聞かせたくないこともあるんだろうけど...)
いつもならさりげなく指摘するところだが、
後ろめたさを抱えてしまった諒は、何も言えなかった。
「おや、諒さん、ああいうタイプは苦手ですか?」
「ああ、いや、ちょっと疲れてるだけ...」
そこに広報が走ってきてきて、
諒のスケジュールの間違いが発覚し...須藤は怒り…
リハーサルには遅刻決定…
.
あわてて移動の車の中でも、
諒は自分の心の動きに悩んでしまう。
そして、それを周囲に悟られないようにするには...
(何でまた男なの?)
麻也への不満は例の秘密だけなのに。
(運命の出会いは麻也さんだけのはずなのに、
どうして、今回ひと目でこうなの?)
ただ...
三浦に見えた透明感のようなものは、
確かに麻也のものに似ていたと認めずにはいられない…
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