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第17章の16(←英雄色を好む、を痛感する諒?)
麻也からも、恭一や真樹からも聞いていたが、
前のバンドで麻也は散々苦労している。
いつもそれをあまり感じさせない麻也だが、その苦労をする前の...
(いや、例のつらいこと、の前なんだろうけど…)
その時の麻也が持っていたように諒には想像できる、
無邪気さたっぷりの少年ぽさが…三浦にはあるのでは…
(それにしても、まわりをちょろちょろされたら…)
直人というベストな人材ををフォローに巻き込むということすら、
その時の諒は考え付かなかった。それほどうろたえていた…
幸い、うつむいている諒に話しかける者は誰もいなかった。
リハーサルの段取りに集中していると思われているのだろう…
スタジオの玄関に入ると、出くわしたのは麻也付きの小野の方だった。
鈴木に紹介されると、諒は、
「…こちらこそよろしくね…っと、さっそくで悪いんだけど、このバッグ頼むわ。」
「はい。」
…ここまでは鈴木も他の誰も不思議には思わないだろうが…
(…今日のところは、近づけないようにして様子を見るか…
一晩寝れば俺もおかしいのが直ってるかもしれないし…)
諒があわてて廊下でコートを脱いでいると、
電話を切ったばかりの須藤がにんまりと近づいてきた。
こそこそ言ってきたのは、
奈生子の方から1週間先に会員制のレストランに誘われたということだった。
「ちょっと待ってよ、この忙しい時に…」
「だからこそのOKですよ。はっきり言って、忙しい時こそ、
<英雄色を好む>で色っぽいことはカラダが要求するし、必要なんですよ。」
それで諒はちょっと、三浦の件について合点がいった。
が、安心できない・・・
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