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第17章の22←(諒の肥やしは麻也王子?)

 つわものの須藤もふらつくほどのスケジュールは、  メンバ一がいくら若いとはいっても、 あまりのハードスケジュールで、 顔に疲れの色がありありなのは、諒も例外ではない。 でも、バンドの看板としてこのMVではロングショットのアップも予定されていて...  遠目にも疲れきっている様子の麻也を見てしまえば、 せめて仕事で麻也に貢献したいと思う。 というわけで、次の撮影のために 明日は嫌いな鍼を打ってから臨むことにした。 一時的にでも肌をプルプルにしたかったから… まあ、自分への罰も兼ねてということで… 須藤に予約をとってもらった。 幸い三浦のことは何も訊かれなかったので、黙っていた。  しかし…  またその夜は例のホテルに諒は一人帰り、軽くワインを飲んでぼーっとしていた。 (たしかに<芸の肥やし>とは聞くけど…) そう思って色ごとに励む例にかぎって、あんまり魅力的な舞台人には育たない気が諒にはしている。 (やっぱり、かつての麻也さんみたいに、自然に女も男も寄ってくるじゃなきゃ話にならないと思う…) 俺は麻也さんを栄養にしよう… それで枯れるようならその程度のボーカルだし、バンドだし。 諒は腹をくくった。

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